特許 ナノマテリアル、材料エレクトロニクス 目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう 理学研究科
深紫外領域で活用できる透明電極材料
掲載日:
深紫外線、透明導電性薄膜、金属酸化物
どんなシーズなの?
タッチパネルやディスプレイ、発光ダイオード、太陽電池などの光デバイスには、高い光透過率と電気伝導性をもつ透明電極が用いられています。従来の光デバイスでは主に可視光が利用されていましたが、紫外線や赤外線を用いたデバイスが近年盛んに研究されています。そのなかでも、波長280nm以下(UV-C領域)の深紫外線は、殺菌や環境浄化、屋外光通信などへの応用が期待されています。
しかし、既存の透明電極材料はUV-C領域の深紫外線を吸収してしまうため、十分な光透過率が得られないという課題がありました。そこで、本発明では、UV-C領域の紫外線に対する高い光透過性と導電性を併せ持つ透明電極材料を提案します。
こんなことに使える!
本発明では、パルスレーザー堆積法(PLD法)を用いて、サファイアや窒化アルミニウム等の基材上にSnO2を主成分とし、Taを数原子%含む透明電極を形成しています(写真参照)。
SnO2へのTaの高濃度ドーピングによる、Burstein-Mossシフト(キャリア濃度の増大により光吸収波長が短波長側にずれる現象)を活用することでUV-C領域でも高い導電性と透過性を両立しており、従来技術よりも優れた性能指数(FoM)を持っています。
本発明は、深紫外発光ダイオードやソーラーブラインド光センサーなど、深紫外線の持つ殺菌・環境浄化、屋外での低太陽光ノイズといった特性を活かした様々な用途への応用が期待されます。

こんな研究室です!
廣瀬研究室では、PLD法やスパッタリング法、ミスト化学気相成長法などの薄膜成長技術を駆使した固体材料開発を行っています。金属酸化物が主な研究対象ですが、複合アニオン化合物や有機無機ハイブリッド化合物といった新たな無機固体物質の設計にも取り組んでいます。
研究者
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廣瀬 靖 教授
- 理学研究科
発明の名称
深紫外光透過型透明電極付き基材及び深紫外光透過型透明電極付き基材の製造方法
番号
特願2023-106223