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研究成果 ライフサイエンス健康、医療、福祉 目標3.すべての人に健康と福祉を 人間健康科学研究科

高齢者のサルコペニア予防にも期待!筋芽細胞移植による骨格筋の再生技術

掲載日:

骨格筋、加齢、筋委縮、再生医療

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どんなシーズなの?

加齢や疾患に伴う骨格筋の萎縮は、運動能力および生活の質(QOL)の低下や、様々な疾患への抵抗力を減少させるため、効果的な予防・治療法の確立が求められています。筋萎縮の治療に即効性のある方法として、骨格筋の幹細胞を利用した再生医療が注目されています。しかしながら、従来法では骨格筋組織が損傷しているような筋疾患に対しては有効性が確認されている一方で、筋線維がやせ細るだけで損傷がない加齢性の筋萎縮では、細胞が生着しないという課題がありました。

本技術では、培養した筋芽細胞を細胞外基質(ECM)を含む液に浸してから移植することで、筋線維の損傷がなくても細胞が生着し、筋量を増加させることに成功。さらに、移植時の細胞数を増やすことで、コラーゲン沈着による線維化を抑えつつ、生着効率を高められることを確認しました。

マウスへの細胞移植から3週間後の細胞数比較。
ECMに浸した場合では、生理食塩水の場合と比べて有意な細胞数増加を確認。
骨格筋重量は約10%増加した。

こんなことに使える!

高齢者の筋肉量の増加を目的とした再生医療への応用が期待されます。将来的にフレイルやサルコペニア予防、寝たきり予防に貢献し、超高齢化社会を支える重要な再生医療技術としての貢献が期待されます。

こんな研究室です!

人々の健康増進を大きな目標として、骨格筋に焦点を当て、運動生理学および細胞生物学の視点から研究を進めています。骨格筋を強化するメカニズムを細胞レベルで明らかにするとともに、再生医療や運動処方、栄養処方へと展開可能な基礎研究と応用研究を推進しています。

研究者

  • 古市 泰郎 准教授

    • 人間健康科学研究科

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