特許 ライフサイエンス健康、医療、福祉 目標3.すべての人に健康と福祉を 理学研究科
少量の欠損も数時間で測定可能!mRNA医薬品の新たな特性評価方法
掲載日:
mRNA、質量分析、転移後修飾、PTM、LC-MS
どんなシーズなの?
mRNA医薬品の品質管理や新規医薬品の開発のためには、塩基配列をはじめとした複数の特性評価が必要です。すでに様々な方法で評価が行われていますが、特性ごとに異なる方法で分析が必要である上、すべての試験結果を統合して複雑な評価を行う必要があり、mRNA医薬品の迅速な実用化の律速になっています。
本発明では、被験試料(p-RNA)に対し、 5’キャップ付加率、有効成分である目的RNAとの異同の判定、目的mRNAと同一長のポリAテール含有率、 5’キャップ構造を1つの試験で評価できる方法を提供します。具体的には、同位体標識を施した標準試料(s-RNA)とpーRNAを混合して断片化し、液体クロマトグラフィー質量分析法を使って比較することで、mRNA医薬品の特性評価を行います。
こんなことに使える!
図1に、本発明による測定結果を示します。s-RNA(赤)とp-RNA(青)が同じ構造のRNA断片を持つ場合、同位体標識されたs-RNAよりも少し下にp-RNAのバブルがプロットされますが、p-RNAがs-RNAと異なるもしくは過不足のある構造の場合、シングルバブル(点線)がプロットされます。この特異な構造については同定を行うことが可能です。
図1:本発明による測定結果
図2は、一部欠落したmRNAが少量混在したp-RNAを用いた実験結果です。p-RNA(201nt)にp-RNAtrn(147nt)を5%混合したところ、該当するヌクレオチドポジションにおいて、ピーク高さが有意に変化していることがわかります。このように、RNAのどこにどのような差があるのかを測定することができるため、予期せぬ分解や転写後修飾の欠陥も、容易に分析することが可能です。
図2:一部欠落したmRNAが少量混在したp-RNAを用いた実験結果
研究者
-
田岡 万悟 准教授
- 理学研究科
発明の名称
mRNA医薬品の特性評価方法並びに同評価に用いられる標準試料組成物及びキット
番号
特願2022-159661