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特許 ものづくり技術ナノマテリアル、材料 目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう 都市環境科学研究科

耐食性が求められる環境でも使える! 機能性表面をもつ ナノポーラスアルミナ

掲載日:

表面微細構造、原子層堆積法、ALD、ナノテクノロジー

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どんなシーズなの?

これまで発明者らは、アルミニウムの陽極酸化によって形成されるポーラスアルミナの表面構造制御と機能化について検討を進め、様々な用途に応用が可能な、表面微細構造を有するポーラスアルミナ(ナノポーラスアルミナ)を開発してきました。

ナノポーラスアルミナの細孔は形成条件に関わらず、穴底部のアルミナ層が 1mm 以下(バリア層:図(a)参照)で、耐食性が不十分です。陽極酸化処理後によく用いられる「封孔処理」を施せば腐食に強くなりますが、細孔は封じられてしまうため、「表面微細構造」と「耐食性」の両立は困難でした。

本発明では、原子層堆積法(ALD)を用いて表面微細構造に保護膜(図(c)・緑の膜)を形成することで、封孔処理を施しても表面微細構造を維持することができます。


(a) 陽極酸化でアルミナ層を厚く形成しても、赤点線の「バリア層」の厚さは 1mm以下 でほぼ一定。
 薄いバリア層が腐食の起点になるため、一般的な用途では、孔を埋める「封孔処理」を行う。
(b) 封孔処理を行った試料表面のSEM画像。孔が埋まり、表面構造が大きく変化する。
(c) 原子層堆積法(ALD)を用いて、表面微細構造に図内緑のような「保護膜」を形成することで、
 その後に封孔処理をしても微細構造をキープできる。

こんなことに使える!

ナノポーラスアルミナは、ナノインプリントや反射防止表面、撥水・撥油表面など、様々な用途に応用することが可能です。本技術を使えば、表面微細構造に起因した機能を有するナノポーラスアルミナを、「耐食性」が求められるような環境でも利用することができるようになります。なお、ナノポーラスアルミナは、細孔径【数nm~1.5μm程度】、厚み【μm~mmオーダー】で制御が可能です。

こんな研究室です!

私たちは、電気化学プロセスをベースとして、金属・半導体・金属酸化物・ポリマーなど、様々な素材の幾何学構造をナノメータースケールで精密に制御することによって機能性材料を創出し、得られたナノ構造材料をもとに、これまでにない機能を持ったエネルギーデバイス、環境浄化デバイス、光デバイス等の開発にむけた研究を進めています。

本発明に興味のある方、研究室の技術に関心のある方からの技術相談をお待ちしています!

研究者

  • 柳下 崇 教授

    • 都市環境科学研究科

発明の名称

ポーラスアルミナ膜、ポーラスアルミナ板、およびその製造方法

番号

特願2024-117194

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