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特許 ライフサイエンス健康、医療、福祉 目標3.すべての人に健康と福祉を 理学研究科

難溶性タンパク質の新規可溶化剤

掲載日:

難溶性、サンプルロス、タンパク凝集体

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どんなシーズなの?

 様々な生物組織に由来する不溶性タンパク質のプロテオーム分析を、高感度かつ再現よく実現できる新しい型のサンプル調製方法です。本発明は、イオン液体および強アルカリ水溶液の『高濃度混合溶媒』を用いたタンパク質の可溶化法と、疎水性マイクロビーズ担体を用いたタンパク質のトリプシン消化法(BOPs)を連続で行うMSサンプル前処理法です。この発明によって、従来までは可溶化が困難であった難溶性凝集物を簡便に、且つ、ロスを限りなく低減させたプロテオーム分析が可能となります。

同一サンプルに各可溶化剤を用いたLC-MS分析結果
(a):本発明の可溶化剤

(b):従来の可溶化剤(10%SDS)
(c):従来の可溶化剤(尿素)

こんなことに使える!

 細胞や組織に沈着する蛋白質等の凝集体は一般に難溶性であるため、従来のプロテオミクスの技術では高感度な分析は困難でした。これに対し、本発明が提供する可溶化剤は、既存剤に不溶である難溶性生体試料の凝集体、例えば、ゆで卵や線虫1匹を極短時間で高濃度に可溶化できます。また、疎水性マイクロビーズを担体として用いた洗浄操作によって前記小型容器から簡単に除去できるため、高感度な分析用のサンプルが容易に調製できます。本発明は、分析対象が難溶性のタンパク凝集体を含む老化・神経変性疾患研究や、その他微量なタンパク解析を必要する研究に対して利点があります。

こんな研究室です!

 プロテオミクス研究室では、さまざまな立場や方向から行われている生命科学研究の一環として、生体を構成するタンパク質分子のダイナミクスとその反応を基礎にして、細胞の基本的な働きを支える「機能情報ネットワーク」を解き明かすための研究を進めています。

 本発明に興味のある方、研究室の技術に関心のある方からの技術相談をお待ちしています。

研究者

  • 田岡 万悟 准教授

    • 理学研究科

発明の名称

難溶性生体試料の可溶化剤

番号

特許第6868872号

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