修了生の声

博士後期課程支援事業の修了生に、博士後期課程への進学理由と博士後期課程学生支援プロジェクトの支援を受けてよかったことをインタビューしました。

 

理学研究科・数理科学専攻 秋山 梨佳さん(2023年3月修了)

博士後期課程に進学した理由:
 もう少し今の研究を続けたい、という気持ちが徐々に大きくなり博士後期課程への進学を決めました。進学後、自身がやりたい研究を存分にできる環境を得た一方で、常に将来への不安もありました。そこで、自身の考え方の幅を広げることができたらと思い、異分野の研究者との交流を求め、本学の博士後期課程学生支援プロジェクトに応募しました。

プロジェクトに採用されて良かったこと:
 特に印象に残っているのは、プロジェクト採用学生の成果報告会です。ここでは、文理問わず様々な分野の研究者の前で、自身の一年間の成果について話をします。専門の研究集会で話すのと同じ内容を、分野外の方にも伝わるように説明するにはどうしたらよいか、ということにとても頭を悩ませたのをよく覚えています。一つの内容を、聴衆に合わせて表現を変えていくという技術は、自身の多面的な理解につながりますし、研究だけでなく幅広い場面で生かすことのできるスキルだと、就職した今痛感しています。
 現在、会社では研究員として、耐量子計算機暗号について理論や実装の観点から研究する部署で働いています。新しい研究課題と出会ったとき、臆せず、楽しんで前向きに取り組めているのも、プロジェクトで出会えた様々な分野の研究者の方からそれぞれの研究の話を楽しく、熱意をもって教えていただけた、あの時間があったおかげと、感謝しています。

都市環境科学研究科・建築学域 楠 拓也さん(2024年3月修了)

博士後期課程に進学した理由:
 公共の福祉に貢献できる活動をしたいと漠然と考えていた博士前期課程のとき、教育と研究の両輪から社会還元を行う教育研究職が魅力的に映り、当時の指導教員に頼み込んで博士後期課程に進学しました。

プロジェクトに採用されて良かったこと:
 博士後期課程学生支援プロジェクトに採用されて良かったことは、他分野の方に向けた研究発表の機会を多く頂けたことです。プロジェクトでの他分野の同級生や大学教職員、文理の選択を控える高校生への研究発表の経験を通して、自身の研究の有用性を多視座から意識して伝える技術を涵養できました。
 現在、高等専門学校の教員として、教育と研究に取り組んでいます。プロジェクトでの経験を活かし、自身の活動を通して多視座から社会還元できるよう邁進します。

理学研究科・化学専攻 松山 知樹さん(2024年3月修了)

博士後期課程に進学した理由:
 “ゼロイチ”ができる人材になるため博士後期課程に進学しました。博士前期課程では知識や技術を習得し、応用する力を身に付けました。博士後期課程では自身の研究をさらに深く掘り下げ、発見した課題を基に研究を立案し推進することで、社会に新しい価値を創出する能力を養えると考えました。

プロジェクトに採用されて良かったこと:
 博士後期課程学生支援プロジェクトに採用されて良かったことは二つあります。
 一つ目は、文書作成や英語プレゼンテーションなど、様々なセミナーに参加する機会が得られたことです。これらは、学振DC2の申請書作成や国際学会での口頭発表で役立ち、研究成果を効果的に伝えるスキルが大きく向上したと実感しています。
 二つ目は、外部メンターの先生方との面談です。自身の専門領域で研究するだけでは出会えなかった企業の研究者・技術者との面談を通じて、会社での研究やプロジェクトの進め方など、貴重な学びを得ることができました。

理学研究科・数理科学専攻 簗島 瞬さん(2024年3月修了)

博士後期課程に進学した理由:
 学部時代から専攻してきた確率論をさらに深く研究したいという思いから、博士後期課程に進学しました。

プロジェクトに採用されて良かったこと:
 進学時のビジョンとして、修了後は数学の専門性を活かして企業の研究所で働きたいと考えていました。そのため、支援事業を通じて企業や官庁などで活躍されている博士人材の方々のお話を伺えたことは、キャリアパスを描く上での重要なヒントになりました。
 また、リトリートなどのイベントで他分野の博士後期課程学生と交流できたことも大きな経験でした。研究内容の紹介だけでなく、博士後期課程特有の悩みを共有することで、今後も続くであろう良いつながりを構築することができました。

人文科学研究科・人間科学専攻心理学分野 齋藤 岳人さん(2024年3月プロジェクト修了)

博士後期課程に進学した理由:
 世にある様々なデザインの書体の中で最適なものを提案する「書体のソムリエ」なるシステムを作りたいと思い、システムを導入するために必要な知識を学んだり、データを収集する目的で博士後期課程に進学しました。その中で専門外の方の意見も伺いたいと思い、博士後期課程学生支援プロジェクトに参加させていただきました。

プロジェクトに採用されて良かったこと:
 プロジェクト期間中に様々な企画に参加しましたが、特に印象に残っているのは、高校生向けの出前講義を2回行ったことです。出前講義を通して、自身の研究の背景や分析方法、応用可能性について、わかりやすくプレゼンする練習をすることができました。これは、その後の共同研究機関へのプレゼンや学会発表でも大いに役立っています。