特許 環境ナノマテリアル、材料 目標7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 都市環境科学研究科
無加湿条件下でも高い伝導性 シルセスキオキサン系プロトン伝導体
掲載日:
プロトン伝導体、固体高分子電解質、燃料電池
どんなシーズなの?
新しいシルセスキオキサン系のプロトン伝導体に関する発明です。プロトン伝導体とは、プロトン(水素イオン,H+)に対して伝導性を有する材料のことです。これを応用すると、例えば、燃料電池用のプロトン交換膜(固体高分子電解質膜)を作製することができます。
今回新たに開発したプロトン伝導体は、下図に示すように、シリカコア及び架橋部位に種々の親水性官能基を有するため、水を保持しやすく、無加湿条件下でも良好な伝導性を示します。このため、燃料電池の運転条件の緩和や加湿機構の簡素化が期待できます。
本発明のプロトン伝導体の分子構造を示す模式図
こんなことに使える!
現在の主要なプロトン伝導体は有機フッ素化合物(通称「PFAS」)を含んでいますが、低湿度では伝導性が低下するため、加湿機構を必要とする課題がありました。また、PFASは、環境負荷が高いとして、欧州等で規制の対象になることが懸念されています。
本技術に係るプロトン伝導体は、PFASを含まず、無加湿条件下でも良好な導電性を示すため、燃料電池のほか、水素センサ、水素ポンプ、エレクトロクロミック素子など、様々な分野への応用が期待されます。
こんな研究室です!
梶原研究室では、無機系固体物質・材料を対象に、持続可能な都市環境と低炭素社会を支える光・電子機能性材料の研究を行っています。
主な研究領域としては、以下が挙げられます。
- 無機系固体材料の低環境負荷合成
- 無機系固体材料による高効率エネルギー変換
- 無機物質と光との相互作用
- 固体内部・表面での物質拡散および反応
研究者
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梶原 浩一 教授
- 都市環境科学研究科
発明の名称
プロトン伝導体及びその製造方法
番号
特願2024-038496