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特許 ライフサイエンス健康、医療、福祉ナノマテリアル、材料 目標3.すべての人に健康と福祉を 都市環境科学研究科

アルツハイマー予防や糖尿病治療への応用にも期待!構造安定性の高いベシクル

掲載日:

DDS、ベシクル、アミロイドβ、亜鉛イオン(Zn2+)、肝実質細胞

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どんなシーズなの?

 本発明では、コレステロールに由来する疎水性部分と、親水性ポリマー鎖部分とを持つ化合物から形成されたベシクルを提供することができます。このベシクルは、リポソームよりも安定性が高く、室温での水溶液調製のみで簡単に形成することができ、超音波処理で中空部への物質の内包を行うことも可能です。

こんなことに使える!

 本発明の実施形態の一つであるインスリン内包Chol-PEG500ベシクルは、薬物担体としてのはたらきだけではなく、凝集アミロイドβ(Aβ)のリフォールディング効果も示しました。

 また、もう一つの実施形態として、糖鎖ラクトースをもつChol-Lacベシクルがあります。Chol-Lacベシクルの末端構造は、肝実質細胞表面のみに存在するレセプター(ASGPR)に特異的に作用します。そのため、薬物送達システム(DDS)に応用できると期待しています。例えば、糖尿病患者の肝臓では、インスリン分解抑制機能がある「亜鉛イオン(Zn2+)」が不足しているといわれています。Chol-LacベシクルにZn2+を内包すれば、肝臓のみに直接Zn2+を届けられますので、新たな糖尿病治療法として利用できるかもしれません。

凝集させたAβにインスリン内包Chol-PEG500を各種量で添加したサンプルのThT蛍光強度。凝集したAβに結合し蛍光を発するThTの蛍光強度が、 Chol-PEG500を一定当量以上入れると有意に低下した。

ヒトのASGPRを有する肝臓由来細胞(HepG2細胞)と、ASGPRを有さない筋芽細胞(C2C12細胞)各々へのZn2+の取り込み量。肝臓由来細胞では、筋芽細胞よりも、 Zn2+単体と比べてZn2+内包Chol-LacからのZn2+取り込み量の差が大きい。

こんな研究室です!

 朝山研究室では、人類の健康を維持し生活の質(QOL)を向上させるバイオマテリアル(生体機能材料)に関する研究をしています。生化学、有機化学、高分子化学、分子細胞生物学、薬学、医学を融合した学際研究により、人類の医療と福祉(生活環境)に貢献します。

研究者

  • 朝山 章一郎 教授

    • 都市環境科学研究科

発明の名称

ベシクル及びその薬物送達のための使用

番号

特願2022-076777

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